シェイクスピア、演劇関連で知らぬものなし、むしろ知ってないと話にならないくらい、演劇界隈ではシェイクスピアが全てのベースになっている。
シェイクスピア四大悲劇、その中でももっとも有名なハムレットを読みました。
シェイクスピアは詩を含めて全シリーズを持っていて、ハムレットはゲーテやニーチェなど、色んな人が推奨する、シェイクスピアの代名詞と言ってもいい。
読んだのはちくま文庫の松岡和子さん翻訳のもの、なんでこれを選んだかと言うと下記記事でも記載しましたが、全シリーズ揃ってるのと、初心者向けで作られてるから。
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ハムレットの内容についてここで語るつもりはない、文章で語るのは長すぎる、それは本を買って楽しんでもらいたいところ。
シェイクスピアの魅力は有名な物語をベースに人間の感情が解釈の仕方が千差万別になるほど、豊かに描かれてること。
だからこういう人間いそうだな~みたいな人間ばっかり登場する、そこが共感でき、感情が強く揺さぶられる、古典として、演劇として長く語り継がれるだけのことはあります。
だから今回はそこから見える人間キャラクター、そこからどう分析、どう見るか、どう活かすかを自分なりに語っていきます。
ハムレットは純粋すぎた
ハムレット、物語の主人公ですが純粋すぎるなというのが読んでて感じ取れた。
まず父親の霊を見て、叔父が王の座とハムレットの母を娶るために奪った、それを信じるってのがまず凄い。
もちろんこのご時世は飢饉とかそういうのですがるものは宗教的な、つまりキリスト教的な価値観が、今以上に普及してた、だから霊的なものを信じるのはまぁしょうがない。
でもそっから疑心暗鬼になって友人のホレイショー以外、とことん攻撃的になって、態度が変わる、豹変ぶりが凄い。
つまり世の中もっとピュアだと思ってたら実は欲望にまみれてた、そこから、全てが堕落した世界に見えた、みたいな感じになってる。
だからこの物語、実際悪いことをしたのは叔父の王様、クローディアスだけなんです。
妃であるガートルードも確かに父王がいなくなってから再婚するまでの期間短すぎない?とは確かに思ったけど、浮気や不倫したみたいな描写はないし、決して悪いことはしていない。
だけどそっからハムレットは、ガートルードも軽蔑し、アプローチしてたオフィーリア、宰相のポローニアスにまで攻撃的になって、だんだん人が信じられなくなっていく、、、
むしろこの物語、クローディアスの次に悪いことをしてるのはハムレットと言っても全然過言ではないくらい。
その結果、オフィーリアは悲惨な末路を迎え、その結果兄のレアティーズがハムレットを恨み、結果、クローディアスだけ報いを受ければよかったのにもっと悲惨な結果を迎えてしまう、、、
こういう結果を迎える物語となっています。
純粋すぎるってのは良くないですね、もちろん知りすぎて疑心暗鬼になるのは良くない、でもそれでも世の中いろんな人間がいて、欲望丸出しの人間いてもいいよねってスタンスじゃないと皆ハムレットになりかねない。

ハムレットで見るべき点
戯曲を読み慣れてない人もいると思う、私としては音読すりゃ解決するでしょと思ってるけど、それでも苦手な人はいると思う。
でもシェイクスピア四大悲劇、私は知りたいから読んでるけど、一般的な人は全て読む必要はないと思う、最低でも四大悲劇、それから、ロミジュリ、ジュリアス・シーザーあたりを知っておけばいいと思う。
そのうえでハムレットで把握すること、それは
- ハムレットは優柔不断
- ハムレットは演技上手
- 名言の塊
この3つですかね、物語自体は読めば良い、だから大枠についてここでは触れません、この中で特に目立つのは復讐に燃える、ハムレット、でも復讐するか否か、かなりグズグズしてる描写が目立つ。
目的は叔父なのに、その結果、グズグズして周りに当たり散らした結果、なんもしてない、宰相ポローニアスをある意味事故だったんだけど亡き者にし、息子のレアティーズに恨まれ、悲劇がもっと拡散したという結果に、、、
つまり行動力がない、グズグズキャラでもある、でも違う相手には攻撃的になって本来の攻撃対象には何も起こせない、正直最後らへんで名君になれる器だったのにと記載されてたけど、そうかな?と、人間臭いキャラではあるけど、トップには向かないよねという、ハムレットの優柔不断さが、二幕、三幕と続いていく人間としての葛藤が見どころ。
それからハムレットは演技上手ってのも見どころの一つ、叔父が本当にそんなことをしたのか、それを確かめるために、劇を演じることでその真意を確かめようとする。
この時代、娯楽なんてほとんどない、だから劇というのは大衆向けにもっと広める方にシフトしていった時代でもある、識字率がままならないご時世で、劇は文字じゃないから、大衆の娯楽として認知されていった背景がある。
だからそういう時代背景を楽しめるってのもハムレットの魅力の一つです。
そして最後、名言箱であること、シェイクスピアって詩人でもある、その理由が戯曲を書く際、言葉の力を鍛えるために、詩を書いていたという話を聞いたことがあります。
だからシェイクスピアは名言の塊である、例えばジュリアス・シーザーだったら"ブルータス、お前か"とかそういう言葉の力が強いのが特徴。
ハムレットで特に有名なのは
- 生きるか、死ぬか、それが問題だ。
- 世の中の関節は外れてしまった。
他にもあるけど、この2つが特に一般大衆に馴染みあるんじゃないかな?
頭に残りやすい言葉の魔力、それがシェイクスピアの魅力の一つ、だから言葉の表現力を身につけるうえでもハムレットを読むのはおすすめです。
後半はやや怒涛、急すぎる展開
ハムレットは、戯曲を幼少期読んでなかった人間としては魅力的な作品だとは思いました、ただ後半はやや怒涛の展開で誰が亡きものになったか判断しにくい要素が垣間見えた。
多分、もう一回見直さないと、勘違いをしてる可能性もあるし、この怒涛の展開はシェイクスピアの中ではトップクラスに感じましたね。
当時は賭けのために剣での決闘に近い戦いは当たり前、でも叔父に演技で本当に父王を亡き者にしたか、確認し、しかもレアティーズに恨まれて当然のことをしておいて、剣での戦い、これにはなにか思惑があるんじゃないかと思わない?とかなりハムレットに対して、無警戒すぎるな~と思っちゃいました。
まぁこの作品はハムレットの思想からもかなり宗教的な観念が強い、どう見てもハムレットは敬虔なキリスト教的な価値観から、あのような狂乱じみた行為に出てるわけですからね。
だから運命に身を委ねる、そこから不穏な感じがすると、予感は感じてるみたいだけど、それでも無警戒すぎだなとは思ったけど。
この怒涛な展開を一周目、それから宗教的な理解をしてないと、理解が難しい可能性がある、だから聖書的価値観を理解しておいたほうが良いというのは読んでて思いました。
まとめ
ハムレットは王道ではある、でも宗教的背景、時代的背景を理解してないと、一回では理解、物語自体は読めると思うけど、なんでそうなるのかみたいな、人間理解は難しい気はしました。
シェイクスピアは噛めば噛むほど、つまり読み直すほど、理解や解釈が変わるといいますが本当ですね、、、
シェイクスピアといえば、ハムレットと言っても過言ではない、興味ある人はまず、ハムレットから、興味持ったら、全シリーズに挑戦してみてはいかがでしょうか?

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